本を読む子を育てる

幼児 読書
幼児向け
2024年01月14日
本を読む子を育てる

本を読む子を育てる第一歩は読み聞かせ

読み聞かせで、本の面白さ、楽しさ、素晴らしさを味わわせる

本をよく読む子は、幼い頃から本の読み聞かせをしてもらっています。
読み聞かせをしてもらって、本の面白さ、楽しさ、素晴らしさを味わった子は、本が好きになり、やがて本を手に取るようになります。
まずはいっぱい読み聞かせをしてあげて、本の世界の楽しさを知らせてあげましょう。

読み聞かせはいつ始めて、いつまでしてあげるとよいか

本の読み聞かせを始めるのは、早ければ早いほどよいのです。
特に0歳台から読み聞かせをしてもらった子は、本が大好きになり、言語能力などの非常に高い子に育ちます。
また、自分で本が読めるようになっても本を読んでもらうのは楽しいものです。読み聞かせは、子どもが望むかぎりは大きくなっても続けてあげましょう。

どんな本を読んであげるとよいか

本は大人が読んであげたい本より、子どもが読んで欲しがる本を優先して読んであげましょう。特に子どもが本を読んでと、持ってきた時に、持ってきた本を読んであげるのが一番よい方法です。
読み聞かせは子どもが好きな本を読んであげるのが一番です。

読み聞かせは、「好きな本を繰り返し」と「ジャンルもレベルも幅広く」の2本立てで

読み聞かせは好きな本を繰り返し繰り返し読んであげるのと、いろいろなジャンルの、いろいろなレベルの本をいっぱい読んであげるのとの、2本立てでしてあげましょう。

子ども、特に幼児は繰り返しが大好きです。
繰り返すこと、それは幼児の本能的欲求と言われています。幼児は繰り返すことで能力を伸ばしていくのです。好きな本は、大人が降参してしまうほど繰り返し読んで欲しがります。
子どもは、繰り返し読んでもらうたびに新しい発見をしていることがあります。

また、新しい発見はなくても、好きな本は何度も読んでもらって、「味わいたい」のです。
ちょうど大人が好きな音楽は繰り返し聴いて味わいたいのと同じです。
繰り返し読んであげているうちに、すっかり暗記してしまいます。暗記してしまった本を眺めているうちに、覚えている内容と文章が一致してきて読めるようになります。

親も暗記してしまえば、夜電気を消してからでも、あるいはベビーカーを押しながらでも、言ってあげられます。好きな本を繰り返し読んであげる一方、まだ興味がない本も読んであげているうちに好きになることがあるので、いろいろな種類の本を読んであげるようにしましょう。

興味を示したり、読んでほしがったりする場合は、易しすぎる、あるいは難しすぎると思えるものも読んであげましょう。自分が興味のある分野の本は、かなり高度な、中には大人向けの本でも好きになることがあります。
また特に乳幼児期は、理解は出来なくても見たり聞いたりしたことを長期記憶に留めることが出来ます。

明治時代、教育熱心な家庭では、子どもの頃から論語の素読をさせていました。
日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士は小さい頃に論語の素読を繰り返ししたのがよかったと言われていました。

公文式で全国で初めて幼児のうちに国語の中学教材ができた子は、お母さんが公文式の指導者で、赤ちゃんの頃に研修の本やお母さんが読みたい本をおっぱいを飲ませながら音読しておられました。幼稚園年長の時に国語教材が小4、小5、小6のレベルに進んでも、苦労なくできたのは、この赤ちゃんの頃大人向けの本を音読して聞かせたのがよかったのではないかと話されていました。

このように、読み聞かせは好きな本を繰り返し読むのと、ジャンルもレベルも幅広くいっぱい読む2本立てでしてあげましょう。

できるだけたくさんの本を読んであげる

音楽やスポーツの世界では、繰り返し量多く練習することで高い能力が育ちますが、読み聞かせも同じです。本の読み聞かせは夜寝る前に1、2冊読んであげるというのが多いようです。
これを毎日続けるだけでも確かな効果がありますが、量多く読んであげるほど、その効果は高くなります。

5冊読んであげれば、耳にする言葉や知識は1冊の場合の5倍になります。
10冊なら10倍、20冊なら20倍と、その情報量は飛躍的に増えます。

まず毎日5冊読んであげるようにし、それが習慣になったら、次は10冊読んであげるのを習慣にしましょう。これを3年間続ければ合計で1万冊になります。1万冊も読んでもらった子は、どの子も本が大好きになり、高い言語能力や豊富な知識を身につけます。

中には1日30冊3年間で3万冊というすごい量を読んでもらう子もいますが、その結果驚くべき能力を身につけています。

読み聞かせは、とにかく楽しく

読み聞かせの時間は、親子がお互いの体温の温もりを感じながら、同じ楽しい本の世界を共有するというまさに至福の時間になります。

読み聞かせをする際は、お母さんは「演技派女優」になったつもりで主人公になりきって、喜怒哀楽を表現して、惹きつける魅力のある読み方をしてあげましょう。

またお父さんは、男性ならではのダイナミックな読み方や、面白い読み方で子どもを喜ばせてあげましょう。そして感想を言わせたりはせず、100%楽しい時間になるようにしましょう。

本を読む子を育てる

本をよく読む子の家庭の特長

1.家に本がいっぱいある

    家にお父さんやお母さんが読む本や子ども用の本、図鑑や事典などがいっぱいある環境に育てば、そのうち本に興味を持って、本を手にするようになります。

2.親がよく本を読んでいる

    子どもは親が楽しそうにしていることや面白がってしていることに興味を持ち、自分もしてみたくなるものです。
    親が楽しそうに本を読む、寸暇を惜しんで本を読む姿を見れば自然と子どもも読んでみようと思うようになります。

3.家族で図書館や書店によく行っている

    子どもは本に触れる機会が多ければ多いほど、本に興味を持ち、読みたいという意欲も高くなります。
    本をよく読む子の家庭では、家族でしょちゅう図書館や書店に行っています。
    あるお母さんは、週5日ほどは書店に行っていて、どこに何があるかよくわかる、新しい本が入ったらすぐわかると言われていました。その子どもは今大変な読書家に育っています。

    小学校入学前に小学校高学年が読むような本を含めて1日平均12冊という驚くべき量の本を読んでいた子がいました。
    この子のお母さんは、毎週図書館へ行って、家族全員のカードで借りられるだけの本を借りて返すということをされていました。近所の人は、「いつも両手に持ちきれないほどの本を持って道を歩いていた」と言われていました。

4.「本だけは望むだけ買ってもらえた」

    優秀に育った人のアンケートなどでは、「子ども時代本だけはいつでも望むだけ買ってもらえた」と答える人が多いです。

本を読む環境づくりをする

1.家に本があふれている状態にする

    本を読む子を育てるよい方法のひとつは、家に親用、子ども用の本がいっぱいある状態にすることです。
    子ども用の本は本棚だけではなく、居間や寝室ほか方々に置いておけば、ふとしたきっかけで手に取って読み始めることがあります。
    「これを読みなさい」と言うと押しつけになるので、家の方々にさりげなく本を置いておいて、子どもが自然に手に取ってみるようにするとよいでしょう。

2.居間に図鑑や事典類を揃える

    お話の本などは、図書館で借りては返すというやり方でよいと思いますが、図鑑や事典類は買ってあげて、居間に揃えていくようにしましょう。
    そして、親も子も何かを知りたいと思った時、すぐに図鑑や事典や辞書を手に取って調べるのを習慣にするとよいでしょう。子どもに質問されて、うまく答えられないような時も「では一緒に調べてみよう」と言って親子で図鑑などを開いてみるようにすれば、やがて子どもが自分で調べたりするようになります。

    また出かけた先で見たり触れたりして興味を持ったことを帰って図鑑で調べたり、動物園に行く前に動物の図鑑を見ておくというように前もって本で見てから実物を見るのもよい方法です。こういうことがいつでもすぐできるように、居間に図鑑や事典類を揃えてあげるようにしましょう。

本を読むきっかけづくりをする

1.いろいろな体験をさせ、興味・関心を広げる

    動物園、水族館、科学館、博物館、プラネタリウムなどに行く、工場見学をする、海や山や川で遊ぶ、キャンプをする、名所旧跡を見て歩く・・・
    こういう体験をする中で強い興味を持ったリ好きになったりしたことは、帰ってからそれに関連する本を読むようになることがあります。

2.好きなこと、興味あることに関連する本を読むようにする

    乗り物が好きな子には、乗り物の図鑑や乗り物が主人公のお話の本を見つけてあげたり、カブトムシに興味を持ったら、カブトムシの図鑑や飼い方の本を探すなどして、好きなことや興味を持つことに関連する本を読めるようにしてあげましょう。

3.テレビ番組、DVDなどで興味を持ったことを本で読むようにする

    テレビで「となりのトトロ」や「きかんしゃトーマスを見て好きになった子が「となりのトトロ」や「トーマス」の本を熱心に読む、クイズ番組を見た子が、興味を持ったことを本で読むようになる・・・そのようなことがよくあります。

    また「子には魚を与えるな釣り方を教えよ」の本に出てくる三好正記さんは、小学校3年生の時に見た大河ドラマ「徳川家康」を見てから劇画版「徳川家康」を読み、さらには山岡荘八の「徳川家康」全24巻を読んだそうです。
    DVDで興味を持ったことを本で読むのもよい方法で、DVDつきの図鑑で、まず映像を見てから図鑑を見ると興味を持って見るものです。

4.漫画で導入し、読書へと導く

    マンガというと俗悪なもの、子どもには与えたくないものと思う人が多いですが、マンガの中にもよいものがたくさんあります。
    上記の三好正記さんも、最初はドラえもんとサザエさんを繰り返し、繰り返し読んだ後本格的な読書へと進んだそうです。

    「ドラえもんの学習シリーズ」や「ドラえもん不思議探検シリーズ」などは、好きなキャラクターが出てきてわかりやすく解説してくれるので、楽しみながらいろいろなことが学べます。
    また学研の「まんが秘密シリーズ」は、マンガと写真や絵解説文で、楽しくわかりやすい解説がしてあって、かなり高度なことも楽しく学べます。
    私はこのシリーズを熟読していた幼稚園年長児に、いろいろなことを教えてもらって感心したことがあります。

    またまんがの日本の歴史や世界の歴史のシリーズがよかったという話はよく聞きます。
    あの話題になった小4程度の学力だった高校生が現役で慶応大学に合格した「ビリギャル」も、最初まんが日本の歴史を読んだのが本格的受験勉強を始めるきっかけになったそうです。

    また、これはマンガではないですが、実業の日本社の「10分でわかる科学の疑問」シリーズや学研の「なぜ、どうして科学のおはなし」シリーズ、同じく学研の「おはなしドリル」シリーズなどもお勧めです。
    年齢相応の実にわかりやすい説明がしてあって、大人が読んでも参考になります。

5.親と子の交互読み

    本を読めるようになっても、自分からは読まない時期があります。
    そういう時は、提案してみて乗ってくるようであれば、「親と子の交互読み」をしてみるとよいでしょう。親が1ページ読んだら、子どもが次の1ページ読むというように交互に読んでいくやり方です。

    また、「お母さんが3冊読んであげるから、〇〇ちゃんも1冊お母さんに読んでくれない?」と言って、子どもが選んだ本を読んでもらう方法もあります。最初はごく短い簡単な本から始めるとよいでしょう。

読む本のレベルアップと読書習慣づくりのサポートをする

子どもの興味と読書レベルにちょうど合った本に出合えるようにサポートする

ゆくゆくは子どもが自分で読みたい本を見つけるようになりますが、それまでは、親が子どもの興味や読書レベルにちょうど合った本に出合えるようにしてあげましょう。

興味や読書レベルのちょうどよい本に次々出会うことが出来れば、どんどん本を読むようになり、やがて読書をするのが習慣になります。
「くもんの推薦図書一覧表」や「読書ガイド」でお薦めの本を見ておくと、買ったり借りたりする時の参考になります。
あるお母さんはこの一覧表をいつもハンドバッグに入れて持っていて、読むたびにマーカーで塗っていき、小学校入学前にこの一覧表の裏表ほぼすべてが塗りつぶされていました。

本を見つけるのはインターネットを使えば、書名や著者名で検索するのは、アマゾンなどですぐできますし、キーワードで関連する本を見つける場合は「連想検索 WebCat Plus」などが便利です。

好きな本のシリーズを読む

好きな本に出合ったら、同じ作家を読んだり、シリーズがあればそれを読むのもよい方法です。
絵本では「ひとまねこざる」や「ぐりとぐら」などがありますし、「ずっこけ3人組」などは全部で50冊もあり、大人が読んでも面白いです。
シャーロックホームズなども一度その面白さを味わうと次々読んでみたくなるものです。

家族で楽しむ読書

10分間読書

これは家族全員が10分間、それぞれが読みたい本を読むというものです。
朝の読書を自分の子どもの学校でもやってほしくて、学校に働きかけて導入に成功されたお母さんが「家庭から広がる朝の読書」という本を書いておられます。

この方は自分の家庭でもやってみようと思って、当時13歳と10歳の2人の男の子に声をかけられたところ、すぐ乗ってきたので、お父さん、お母さん、2人の子どもの4人で10分間読書を始めました。
それまでほとんど本を読まなかった2人の子どもは、これがきっかけになって本を読むようになったそうです。

方法はいたって簡単で、時間を決めて家族全員が10分間それぞれ読みたい本を読むだけです。
わずか10分ですが、1週間で1時間あまりになりますので、さきほどご紹介しました「なぜどうして科学のお話」などは、1週間で読めます。親が前もってこういう本を読んでおくとよいので、この時間に読むのもよいでしょう。

また育児書なども必要なところだけをしっかり読む読み方なら1冊1~2時間で読めますので、1週間に1冊読むこともできます。

母と子の20分間読書

これは児童文学者の椋鳩十さんが進めてこられた運動で、当時鹿児島県だけで12万人が実践しているとのことでした。
これは、子どもが自分の好きな本を20分間小さな声で音読するのを傍らでお母さんが座って静かに聞くというシンプルな方法ですが、素晴らしい効果があがっています。

子どもは自分がすることを親に見ていてほしいと思うものです。また自信のないことを聞かれるのは嫌ですが、自信を持っていることは聞いてほしいと思うものです。

また誰かに聞いてもらっていると思うと、少しでも上手に読もうとするもので、次第に読み方が上手になっていきます。

読んだ本について話しあう

10分間読書のルールに「感想を求めない」ということがありますが、子どもが読んだ本について話しだしたら、それを積極的に聞いてあげるのはとてもよいことです。

家族が読んだ本で面白かったところや、学んだことについて話し合うのは楽しいもので、そうすることで、読んで学んだことがしっかり身につきます。
子どもが興味を持って読んだ内容をプレゼンテーションのようなかたちで家族に発表するのも楽しいものです。

ごく簡単なことから始めて、徐々にレベルアップしていけば幼児や小学校低学年でも大人も勉強になるようなことを発表できるようになります。
こういう経験を重ねていけば先々おおいに役にたつでしょう。

また自分が読んでよかったところを家族に音読して聞かせたり、家族も数行から数ページ程度読んでみるよう勧めてみれば、興味を持って続きを読みたくなることがあります。
本を読んだ後、家族でこのようなことが出来れば楽しいですね。

編集後記

読み聞かせをいっぱいしてもらった子どもは誰も本が好きになります。また本のある環境で、親が本を読む姿を見て育てば、自然と本を読むようになるものです。

本を楽しく読みながら知識・学力がつくというのが理想の学習法です。
早い時期から本の楽しさ・面白さを味わわせ、上手に導いてあげて、本が好きな子、本をよく読む子に育ててください。

それはお子様の人生を豊かにし、はかり知れない恵みをもたらしてくれることでしょう。

本記事画像著作者:pikisuperstar/出典:Freepik