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大切な「基礎学力づくり」
学習の道具は「読み・書き・計算の基礎学力
教科書や参考書、問題集などを読んだり、ノートに書いたり、答案の答を書いたりして学習します。また算数・数学の学習はその多くが計算です。
つまり、読み・書き・計算が学習の道具ということになります。
そして、高度な道具を持っているほど、学習はラクに速くできます。
高度な「読み・書き・計算の基礎学力」は「学習の電動工具」
- 学習が短い時間で済む
高度な読解力と速読力があれば、文章がスラスラ読めて内容もよくわかります。
高度な計算力があれば、短時間で正確な解答ができます。その結果、短時間で学習が済むので他にやりたいことや、やるべきことに時間がさけます。勉強に四苦八苦し、勉強に追われて時間が過ぎてしまうようなことがなく、自分の好きなことをしたり、好きな本をいっぱい読んだり、スポーツや音楽に取り組む、友だちと遊ぶことなどが可能になります。
このように余裕のある豊かで実り多い学校生活を送れます。 - 学習がラクにでき、学習好きになる
高度な読解力、速読力、文章力、早くて正確な計算力などがあれば、苦労なくラクに学習ができます。
負担感がなく、スムーズに学習が進むので学習が好きになります。 - 意欲的に学習に取り組める
子どもはラクにできることは、やりたがるもので、高度な基礎学力があれば、ラクラク学習が進むので、意欲的に学習に取り組めます。
- 行き詰まることなく、ずっと順調に学習が進む
学習する内容が高度になればなるほど、それが負担なくできる基礎学力が必要になります。
常に学年を超える基礎学力をつけていれば、学習内容がいくら高度になっても行き詰まることなく順調に学習が進みます。
速読力があれば、普通の人の何倍もの学習や仕事ができる
速読力があれば普通の子が1冊読む時間で数冊読めたり、普通の子が1時間かかる本を20分ほどで読んでしまったりします。
読書が習慣になって毎日何冊もの本を読み、1か月の読書量が数十冊から100冊、200冊ともなれば、普通の子に比べて、圧倒的な量の学習ができます。
(幼稚園児で、毎日1冊読むような子はよくいますし、中には1日に数冊読む子もいます。稀な例ですが、小学校高学年向きの本を含む10冊を超える本を毎日読んでいる子もいました。)
読み始める年齢が早ければ早いほど、本を読んでいるだけで、読むスピードが速くなり、訓練などしなくても速読力が育ちます。
中高生や大学生、社会人になっても速読力という「電動工具」があれば、短時間に多くのことを学んだり、多くの仕事をこなしたりすることができます。
成功者は、そのほとんどが大変な読書家と言われていますが、総じて読むスピードが非常に速いようです。速読力や高い読解力は一生の財産になります。
国語力が基礎学力の要
また文章を書くことや話すことも、その能力によって、大きな違いが生じます。
国語力の弱い子の問題点
- 学校の勉強・テスト
教科書や教材の説明文・テストの設問がよく理解できず、読むのに時間がかかるため、学校で習うことがよくわからず、テストもよい点が取れない。
国語以外の教科も、国語力がないために出来ないことが多い。
算数も計算はできても、文章題になるとできなくなることがある - 宿題・予習・復習
宿題や予習・復習をするのに長期間かかり、他にやるべきことや、やりたいことをする時間がなくなることが多い。意欲的・自主的に勉強に取り組まないので、集中して勉強できず長い時間かかってしまうことも多い。
また親に勉強するよううるさく言われたり、叱られたりすることが多くなり、勉強ぎらいになりやすい。宿題に夜遅くまでかかって、睡眠不足になることもある。 - 読書
読解力が弱く読むスピードも遅いため、読書を楽しめない。
自分から本を読もうとしないので、読書を通じて国語力を高めていくことが出来ない。
本を読まないから国語力が高まらない、国語力が弱いから本を読まないという悪循環になる。 - 作文・日記
文章力が弱いと作文を書いたり日記を書くのも時間がかかり内容も稚拙なことしか書けない。苦手意識を持ってしまい、作文や日記を書く意欲がわかない。
- 記述式の問題
国語力が弱いと答が出てこなかったり、不十分な解答しか思い浮かばないことが多い。
たとえ答が思い浮かんでも、適切な表現で書き表せないために不十分な解答しかできない。 - 発表・討論
国語力の弱い子は、思考力も弱いことが多い。
また、話す力が弱いと、何かを発表したり子ども同士討論したりする際、うまく話せない。そのために積極的に発言する意欲がわかないことが多い。
国語力の高い子の特長
- 学校の勉強・テスト
説明文などを短時間に正確に読み取ることができるので、よく理解でき、テストでもよい点数が取れる。算数の文章題なども、計算力や数感覚を高めておくだけでラクに出来るようになることが多い。
- 宿題・予習・復習
宿題や予復習を短時間で済ませることができる。
またラクに出来るために、負担が軽く疲れることもない。
自分のやりたいことや、勉強以外のことをする時間的余裕がある。勉強好きになり、意欲的・自主的に取り組むので、親や先生から褒められることも多く、自信を持つ。 - 読書
読解力が高く読むスピードが速いので、本がラクに読め、読書を楽しむことができる。
多くの本を読むために、豊富な知識や学力がつき、好奇心も広がっていく。
読めば読むほど読解力と読むスピードが高まるので、ますます多くの本が読めるようになる。 - 作文・日記
書くことが好きで得意なので、書くことに意欲的で、取りかかりも早く、短時間で作文や日記を書くことができる。毎日書くことで、ますます文章力が高まり、書くスピードも速くなる。
- 記述式の問題
文章を速く正確に読み取ることができるので、解答の文章を短時間で組み立てられ、適切な表現で記述することができる。
- 発表・討論
論理的思考力は国語力特に語彙数に比例すると言われているように、国語力の高い子は思考力も高い。
また国語力の高い子は、語彙も豊富で、言語能力も高いので話す能力も高い。
何かを発表したり討論したりする時も、得意なので積極的に発表したり討論したりすることが出来る。
国語力を育てる家庭教育
読む力、書く力、話す力の3つをどのようにして育てるかについて考えてみましょう。
読む力を育てる
読み聞かせによって本の楽しさ味わった子は、本が好きになりやがて自分でも読むようになります。一人で本を読むようになり読書が習慣になるまでは、読み聞かせをいっぱいしてあげましょう。また大きくなって一人で本を読みだしてからも、本を読んでもらうのは楽しいものです。
子どもが望む限りは大きくなっても本の読み聞かせは続けましょう。
◆本の一人読み
幼児・小学生の頃の知育の最優先目標は、本が好きでひとりで本を読む子にすることだと思います。本を自分で読むようにする方法はいろいろありますので、わが子の場合は何を使ってどのようにするのが一番よいかを考えてあげましょう。
- 文字・文章の読み
ひらがな、ひらがなの単語、2語文2語文、短い文章などを、カード、表、文字積み木、かるた、絵本などで読めるようにする。
- 本読み
物語、絵本、図鑑、マンガなどの中から、子どもが好きなものを自分で読む。
- 繰り返し読み聞かせしてもらって憶えている本を、自分で手に取って見ているうちに読めるようになる。
- 好きな図鑑を見ていて、解説文を読んでいるうちに長い文章も読めるようになる。
- 親と子が数行ずつか1ページごとに交互に読むことから一人読みに導く。
- 好きな本が出てきたら、そのシリーズものを読む。
- 子どもの興味と読書力にちょうど合った本に出合わせてあげて、意欲的に読んでいけるようにする。読書レベルがレベルアップしていくようにする。
書く力を育てる
小さい頃から日記などを毎日書き続けていくと、文章力がどんどん高まっていって、高度な内容の文章を書けるようになります。
正しい的確な文章を書ける能力は、読書力と同じく一生の貴重な財産になります。
- 日記
絵日記帳を使って、上半分は絵を描くか写真を貼り、下半分に日記を書きます。お出かけした時などに写真を撮っておいて、その中から子どもが好きなものを選んで貼り、それについて書くとよいでしょう。
(宛名シールのラベルに写真を印刷すれば、ラクに速くできます。)
まだ自分でうまく書けないうちは、子どもが口頭で言ったものを書いてあげて、それをなぞったり、横に見写し書きするなどの方法があります。 - 自由研究ノート
絵日記を書く時に、その日の出来事だけではなく、興味あるものの写真を貼ってそれの解説文を書いたり、植物や動物などの発育や観察結果などを書く方法もあります。
そのうちに、日記とは別に、自由研究ノートとして書いていくとよいでしょう。 - お話づくり
下記のような方法で、お話づくりをしているうちに、次第に上手な文章が書けるようになります。
1.雑誌や印刷物、国語教材の挿絵などの中から子どもが好きなものを選んで切り抜いてノートのページの上半分に貼る
2.下半分のスペースにその絵の解説文を書く最初はごく簡単な説明文を1~2行書くだけですが、やり続けているうちに、次第に長い丁寧な解説文になっていきます。
話す力を育てる
以下のような方法で、子どもが話をする機会を設けるようにしましょう。
- 子どもの話を引き出し、発展させる
子どもが何かについて話したら、それをしっかり受けとめて聞いてあげ、相槌を打ったリ質問を投げかけたりして、話を引き出し、発展させるようにするとよいでしょう。
- 見聞ききしたことや経験したことを話す
幼稚園・保育園や学校での出来事、お出かけして見聞きしたことや経験したことなどを、子どもから聞くようにするとよいでしょう。
お母さんと2人で出かけた時の出来事をお父さんに説明するのもよい方法で、これをお父さんに話そうねと言うと、注意深く観察したりするようにもなります。 - 家族で話し合う機会を持つ
夕食の時間や夜の団らんの時間に、以下のようなことを話しあうとよいでしょう。
- 子どもが興味を持って調べたこと、本を読んで知ったことを説明してもらう
- 身近な出来事、テレビの番組に出てきたことなどについて家族で話し合う。
- 家族で出かけて見たことで疑問に思った点をそれぞれが調べて発表する。
例:魚の目の位置について:○○ちゃんが調べる
くらげには目や脳や心臓があるか:お父さんが調べる
いるかのジャンプの訓練のしかた:お母さんが調べる
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